2026-06-07

イベントのお知らせ

【イベント】「朧月下の宵桜」

夜の御殿には、雨の音だけが静かに響いていた。 長い廊を濡らす雨脚は細く、まるで誰かの忍び泣きのようでもあった。 十二になった春霞は、灯の落とされた一室へと呼ばれていた。 室内に仕える者はいない。 御簾の奥に座しているのは、ただ一人――父であ...
未分類

【イベント】「朧月下の宵桜」(前記)

秋の終わりだった。 乾いた風が、御所の庭に植えられた紅葉を揺らしている。池の水面には朱の葉が浮かび、白砂には細かな影が落ちていた。 その庭を、幼い少年が駆けていく。「兄上っ! 待ってください!」 高く響いた声に、前を歩いていた少年が振り返っ...