―――― さあ、わたしと来て。幕開けの時間よ
―――― どこまでも響き渡るカルテットを……奏でましょ?
「おばば、今日の依頼はなんだい?もう動物絡みの依頼はごめんだぜ」
軽く編まれた髪を跳ねさせて、何でも屋の少女はどさりと椅子に腰掛けた。
「やれやれ……足を下げな。飯の種を選べるような身分だとは初耳だよ、小娘」
「へーへー、しがない何でも屋稼業も楽じゃないぜ。……?」
エールの瓶に手を伸ばして一瞬手を止める。その視線の先、霞むように揺らぐ影はぐにゃりとねじれ、幼い少年へとその輪郭を変えた。
少年は乱雑に積まれた本をすり抜け彼女と向かい合い、何事か言いたげに唇をぎこちなく歪ませる。
その姿はうっすらと後ろが透き通り、触れることすらできそうになかった。
「また連れてきたのかい、小娘。墓場を通るなとあれほど……」
「うっせーなあ……おい、坊主。お前道に迷っちまったのか?」
ぼんやりとした輪郭の少年の髪を、少女はくしゃくしゃと撫でる。
自分に触れられる者がいることに少年は戸惑いつつ、長く触れることのなかった温もりに思わず微笑む。
「いいさ、しばらくここにいな。きっとお迎えの天使が遅刻してるんだ。だからここで待っとけ、な?」
枯れ木のような指でトントンとテーブルを叩きながら、老婆は深いため息をついた。
少年は、古ぼけたオウムの止まり木に腰掛けている。不安定な造りにもかかわらず、止まり木はぴくりとも揺らがない。
「お前に取っちゃ、生者も死者も大差ないのかね。ったく、因果なちからだよ……」
「見えちまうもんは仕方ねえ。……仕方ねえよ」
「……さ、仕事の話だよ小娘。ブリテインの音楽ギルドから人探しの依頼が来てる」
投げて寄越された依頼書に目を通すと、少女は眉間にしわを寄せエールをあおった。
「4人もかよ!うわ、めんどくせえ……」
「そう言うと思って助っ人の手配はしたさね。後はうまくやんな」
少女の目が輝く。単独行動の多い彼女にとって、助っ人冒険者との仕事は新鮮な時間だ。
仕事道具の手入れをすると言って部屋を飛び出していった少女を見送り、老婆は引き出しからよく磨かれたアンクペンダントを取り出した。
「……徳の導きのあらんことを」
その声を聞くものはどこにもなかった。
―――― 死者を除いては
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◆開催日時:平成27年3月28日 22時00分~
◆集合場所:トランメル・ニジェルムEMホール
ブリテイン第一銀行前にゲートがございますのでご利用ください。
当日は、マラス・ルナ銀行前からも臨時ゲートをご用意致します。
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《イベントにご参加の皆さまへ 注意事項・お願い》
◆ イベントチャンネル “Asuka EM Event” にお入りください。
◆ なるべく貴重品は持ち込まないよう、お願いいたします。
◆ 当日は戦闘準備のうえお越しください。
◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、
イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。
– イベント進行の妨害、かく乱行為。
– EM、作者様、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。
◆ ロールプレイ中は、ロールプレイキャラクターの周囲を空けてくださるようお願いいたします。
◆ ロールプレイ中の召喚魔法・戦闘詠唱のご使用はご遠慮ください。
◆ 皆さまのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!